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お薬研究所 : 2010年8月号-#3 [2010.08.26up]

お薬研究所では「薬局でのこんな相談」や「病気の話」など、皆さまの健康に役立つ情報を掲載しております。
  » こんな相談「検査値について」
     ├ 1. 肝機能検査
     ├ 2. 腎臓検査
     ├ 3. 糖質検査
     ├ 4. 脂質検査
     ├ 5. 貧血検査
     └ 6. 炎症マーカー検査
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  » 2010.07.22 お薬研究所:2010年7月号

こんな相談「検査値について」

血液を採取して行う検査健康診断や慢性病で定期的に病院を受診している人は、体の状態を調べるために、血液を採取して検査を行うことがあります。しかし、“検査結果を見ても内容が解らない?先生からは、大丈夫と言われてもやっぱり心配”と質問をうけることがよくあります。自分の体の状態を把握することは非常に大切です。

1. 肝機能検査

肝機能の一般的な検査項目としては、GOT(AST),GPT(ALT),γGPTがよく知られています。これらは、組織が破壊されることで細胞から血液中に流れ出します、これを逸脱酵素と言います。

» GOT(AST)・・・・・基準値5~40U
肝機能検査肝臓以外にも心臓、脳、骨格筋、腎臓にある酵素です。それぞれの臓器や組織が障害を受けると、血液中に増加します。急性肝炎、アルコール性肝炎で上昇しますが、心筋梗塞でも早期から数値が上がるため診断に役立ちます。
» GPT(ALT)・・・・・基準値5~35U
肝臓に一番多く存在する酵素です。腎臓にも若干ありますが、その他の臓器には存在しないため慢性肝臓疾患の悪化や改善の指標になります。
» γGTP・・・・・・・基準値60U以下
この酵素は、肝臓で合成され胆道から胆汁中に排泄されることから、胆道の閉塞がおこると 胆汁は逆流し血液中の酵素量が増加します。胆道系疾患、肝炎、肝硬変、肝臓癌などの指標になります。また、アルコールの常用者や睡眠薬、向精神薬の服用者でも数値が上昇することがありますが、これは胆毛細管の上皮細胞で合成が促進するためで、酵素誘導と言います。
» ALP・・・・・・・・基準値80~240U
骨、肝臓、腎臓、腸管、乳腺、胎盤などに分布する酵素です。この値は、年齢によって差が 見られ、骨の発育が顕著な小児や思春期では高値となります。この酵素は胆汁を介して肝臓から排出されるので、胆汁の流出障害を検出するのに重要です。ALPには、ALP1~ALP5に分類されALP1,2は肝臓由来、ALP3は骨由来、ALP4は胎盤由来、ALP5は小腸由来とされており由来となった臓器が推定することができます。
» 血清ビリルビン・・・基準値0.3~1.2mg/dl
肝機能障害が進行した場合に発現する症状が”黄疸”です。これは、血液中のビリルビンが上昇した状態で目の強膜や結膜にビリルビンが沈着し黄色化します。間接ビリルビンと直接ビリルビンに分類され、
直接ビリルビン⇒胆道の閉塞、薬剤性肝炎、肝内胆汁うっ滞、肝硬変、急性肝炎、胆石
間接ビリルビン⇒ビリルビンは、老化した赤血球が分解した時の血色素が変化したもので、大量の赤血球が分解する溶血貧血や肝細胞障害が疑われます。
 

2. 腎機能検査

腎機能検査腎臓は、水分、代謝最終産物、電解質、異物の排泄、血液浸透圧、体液量、酸塩基平衡、血圧維持、ビタミンDの活性、エリスロポエチンの産生など数多くの重要な機能を担っています。検査値の異常は、腎炎などの腎臓疾患だけでなく糖尿病、膠原病、高血圧などの全身疾患によって二次的に障害されることも多いのです。

» 血中尿素窒素・・・基準値7~19mg/dl
血中尿素に含まれる窒素量を測定するもので、これにより腎糸球体の濾過能、腎尿細管での再吸収量を検査できます。腎不全、脱水、高たんぱく食、消化管出血や感染症でも上昇します。
» クレアチニン・・・基準値 男性0.7~1.1mg/dl 女性0.5~0.9mg/dl
筋肉内で産生されたクレアチニンは、血液中に放出された後、腎糸球体で濾過され尿中に排泄されます。したがって、糸球体の機能が低下すると高値になります。尿素窒素値と比較するとたんぱく質の影響を受けにくいので、優れた腎機能状態を反映します。
» クレアチニンクリアランス・・・基準値 男性90~120ml/分 女性80~110ml/分
血液中と尿中のクレアチニンの量を測定し比較することで、糸球体が老廃物を濾過する力を調べます。
糖質検査

3. 糖質検査

体内の細胞は、エネルギー源として血液から運ばれるグルコースを利用しています。肝臓や筋肉ではグルコースをグリコーゲンにかえて貯蔵し、必要に応じて利用しています。血液中のグルコースの濃度を血糖値と言います。

» 空腹時血糖・・・基準値 110mg/dl未満  糖負荷試験・・・140mg/dl未満
糖負荷試験とは、75gのブドウ糖を飲み2時間後の血糖値を測定します。上記2検査で基準値未満であれば正常型と診断されます。
» ヘモグロビンA1C・・・基準値 4.3~5.8%
血液中のたんぱくは、グルコースと結合し糖化たんぱくとなっています。この中で、ヘモグロビンと結合したものをヘモグロビンA1Cと言います。ヘモグロビンの平均寿命が120日なので、過去2カ月の平均血糖値を反映でき、糖尿病で治療をしている場合の血糖コントロールが解ります。

4. 脂質検査

血液中の脂質には、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸があり、トリグリセリドはエネルギー源として、コレステロールは胆汁酸やホルモンの原料になります。

» LDL-コレステロール・・・基準値 139mg/dl以下
悪玉コレステロールと言われ、動脈硬化を引き起こします。LDLの増加により、アロテーム(脂質沈着)が形成され、はがれ落ちた血栓による血管の閉塞が起こります。
» HDL-コレステロール・・・基準値 男性37~57mg/dl 女性36~70mg/dl
細胞内に蓄積したコレステロールを除去し、細胞内へのLDLの取り込みを抑えます。LDLコレステロールとは逆に動脈硬化を予防します。
» トリグリセリド・・・・・・基準値 55~149mg/dl
トリグリセリドは、脂肪組織の主成分で、生体のエネルギーを貯蔵する役割があります。高脂肪食、高カロリー食、高炭水化物など食事の影響を受けたり、糖尿病や肥満などの代謝性疾患や肝疾患などで異常値になる事があります。

5. 貧血検査

» ヘモグロビン・・・・基準値 男性13~18g/dl 女性12~16g/dl
血液の赤色は、ヘモグロビンと呼ばれる血色素の色です。ヘモグロビンの原料となっているのが鉄。したがって、ヘモグロビンの検査値により鉄欠乏性貧血の状態がわかります。
» ヘマトクリット・・・基準値 男性40~48% 女性36~42%
血液全体の赤血球の容積比率を表す数値です。血液の大部分を赤血球が占めているため、検査値が低いと貧血が疑われます。
» フェリチン・・・・・基準値 男性26~240ng/ml 女性8~74ng/ml
貯蔵鉄たんぱくの一種で、鉄の貯蔵量を反映します。体の中の鉄が不足すると、まず貯蔵鉄が減少し次いで血清鉄が減り、その後ヘモグロビンなどの色素鉄が減少して貧血になります。貧血と診断される場合には、かなりの鉄欠乏状態にあると言えます。したがって、早目にフェリチン値を測定することにより貧血は軽度のうちに発見できます。

炎症マーカー検査6. 炎症マーカー検査

また、感染症や外傷、腫瘍などによって生体に炎症が起きると、種々の急性期反応物質が作られます。したがって、その急性反応物質を測定すれば炎症の有無や程度、活動性が判定できます。

» C反応性たんぱく・・・・基準値0.3mg/dl以下
この値は、急性炎症が起きた場合、6~8時間で急速に増加し、48~72時間で最高値となります。炎症が治まると急速に減少します。

確定診断を行うために、CT検査やMRI検査、エコー検査などの他の検査も含め総合的に判断されているのです

上記の他にも、血液検査項目はたくさんあります。確定診断を行うために、CT検査やMRI検査、エコー検査などの他の検査も含め総合的に判断されているのです。

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