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お薬研究所 : 2010年9月号-#1 [2010.09.07up]

お薬研究所では「薬局でのこんな相談」や「病気の話」など、皆さまの健康に役立つ情報を掲載しております。
  » 病気の話「めまい」
     ├ 1. めまいを引き起こす病気
     ├ 2. どんな症状
     ├ 3. 主な治療法
     └ 4. 生活上の注意
これまでの記事(直近3件)
  » 2010.08.26 お薬研究所:2010年8月号-#3 こんな相談「検査値について」
  » 2010.08.18 お薬研究所:2010年8月号-#2 サプリメント「日焼け後に良い食品」
  » 2010.08.10 お薬研究所:2010年8月号-#1 病気の話「熱中症」

病気の話「めまい」

天井がグルグルと回るような回転性のめまいめまいは、日常生活の中で比較的多く見られる症状です。“めまい”といっても人によりその表現がいろいろで、原因を見極める事が重要となります。生命に関わるような危険なものから、ストレスからくる一過性のめまいまでその原因はさまざまです。
めまいの表現を大別すると・・・・・

  1. 天井がグルグルと回るような回転性のめまい
  2. 身体がグラグラして真っ直ぐに歩けないようなめまい
  3. フワフワと身体が浮いたような浮遊性のめまい
  4. 立ち上がった時に目の前が暗くなり、気を失うような感じがする
  5. 吐き気、冷や汗、動機を伴うめまい
身体がグラグラして真っ直ぐに歩けないようなめまい

このようないろいろな訴えから、めまいの性質、突発性か持続性か、反復するか、さらに頭痛などの神経症状を伴うのかを調べてゆきます。
人間の平衡バランスは、大脳・小脳・脳幹などの中枢神経系や前庭系・視運動系・深部知覚運動系などが協調して保たれています。これらの直接的障害もしくは協調関係の障害によって“めまい”を感じるのです。

1. めまいを引き起こす病気

めまいを引き起こす病気は、多岐にわたりますがその原因となっている疾患は下記のように分類されます。
めまいを引き起こす病気:回転性めまい(ぐるぐるめまい)・非回転性めまい(ふらふらめまい)に分類されます

2. どんな症状

めまいの症状:耳から前庭神経炎
激しい回転性のめまいが突然起こり嘔吐を伴います、数日続いたのち軽快しますが数週間ほど軽度のふらつきが残る事もあります。また、発症の前に感冒様症状を示す事もありウイルス感染が原因の場合もありますが、大部分は原因不明です。
検査としては・・耳から冷水Or温水を注入し内耳前庭機能を調べる温度眼振検査を行います。片側の半規管の機能低下が見られます。
聴神経腫瘍
持続的なめまい、耳鳴り・難聴を伴います。回転性のめまいは少なく、浮遊性めまいを訴える事が多いようです。中高年以降に発症する事が多く、片側の難聴の進行がある場合に疑われます。
検査としては・・X線により内耳道の拡大が認められ、温度眼振検査により一側性の半規管の機能低下が見られます。腫瘍の描出にはMRI検査を実施します。
メニエール病
回転性のめまい発作を反復し、それに伴い耳鳴、嘔吐、低音障害の感音難聴を認めます。内耳にあるリンパ液が増加する事で発症すると言われており、通常、片側のみに発症しますが約20%は両側に障害がでます。
検査としては・・グリセロールの内服による聴力の改善度を見ます。これはグリセロールの内服によって内耳のリンパ液が一時的に減少する為です。
めまいの症状:良性発作性頭位性めまい良性発作性頭位性めまい
頭位や体位を急激に変えた時に10秒前後続く一過性の回転性めまいです。耳鳴り・聴力障害を伴う事はなく、頻度として一番多く見られるめまいです。頭位や体位を変える事を繰り返すうちに症状が軽減される事が多いようです。これは、耳石という平衡感覚と司る石が三半規管に入りこみ神経を刺激する事で発症すると考えられています。
めまいの症状:脳から中枢性めまい
末梢性のめまいと比較し中枢性めまいは、脳梗塞や脳内出血などの血管障害や脳腫瘍などの危険なめまいが存在します。めまいだけでなく激しい頭痛や嚥下・構音障害を併発したり、四肢のしびれや脱力感などを伴うこともあります。
検査としては・・頭部CT検査を行い、出血性か梗塞性かを判断します。少しでも早く治療を開始することが重要です。
椎骨脳低動脈循環不全
脳幹を養栄している動脈(首の後ろ)が一時的に流れの悪い状態となるとフラフラしたりめまいを感じたり、ひどい時には意識が遠のいたりします。起床時や夜間にトイレに起きた時、入浴中に起こることが多いようです。
めまいの症状:ストレス・疲労から突発性難聴
高度な難聴が突然起こり、めまいを伴う事が多いようです。原因を限定するのは難しく、ストレス・疲労が要因とも考えられています。聴力の回復において早期の治療が非常に重要です。

上記のような代表的な病態の他にも、自律神経の失調から起立性低血圧により発症したり過換気症候群、急性貧血、不安感からくる心因性のめまいなどもあります。

3. 主な治療法

激しいめまいをきたしている発作時には、悪心・嘔吐も伴うことが多いため、まずは光や音の刺激を避け安静を保ちます。脳神経症状や小脳症状、眼振、画像診断などから中枢性めまいが疑われる場合には脳神経外科的な治療が優先しますが、末梢性めまいには薬での治療が行われます。

抗めまい薬・循環改善薬
主に脳や内耳の血流を増すことによりめまいを改善します。十分な血液が行き届かないことによりバランスを保つ機能が低下し、リンパ液の循環も悪くなることで内耳のむくみやめまいが発症します。
吐き気止め
めまいに伴う吐き気を抑えます。内服が難しい場合には注射や点滴を行います。
抗不安薬
めまいに対する不安が、さらに症状を悪化させるといった悪循環を改善します。
浸透圧利尿薬
内耳を満たしているリンパ液が過剰になると内耳のむくみやめまいを発症します。内耳の圧力を下げることで改善が期待できます。
ステロイド薬
神経の炎症やめまいに伴う難聴に使用します。特に突発性難聴には早い段階での使用が効果的です。
ビタミンB12
神経の働きを正常に保つ効果があり、傷ついた神経を修復します。

4. 生活上の注意

中枢性のめまいや他の疾患によって発症しているめまいでは、そちらの治療が優先されますが末梢性のめまいは生活習慣に起因している場合も多くあります。
たとえば、枕を使わないで昼寝をしたり、下向いて草むしりをしたり、頭の低い姿勢を長時間続けるなどの習慣のある人に比較的多く発症します。また、昼夜逆転の生活や睡眠不足の若者にも見られます。さらに、60代の女性に多いのは看護や介護のストレスや“頑張っているのに認められない”といった不満もストレスを増幅する要因となっているかもしれません。その証拠に、毎日を明るく満足に送っている人にはめまいが少ないと言われています。

じっとしていることが大切です

発症して間もない急性期には・・

  • 体を動かさず、楽な姿勢をとる
  • 衣類をゆるめて、横になる
  • 静かな部屋で安静にする
  • 目の前の動く物を見ない
  • 振動や動揺を避ける

慢性期には・・

  • バランスのとれた食事を心がける
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスを極力避ける
  • 急に体を動かさない 規則正しい生活が基本です
  • 大きい音を聞いたり、チラチラ動く物を見ない
  • 低めの温度で入浴する
  • コーヒー、タバコ、酒、塩分は控えめに
  • 就寝は、11時をめやすに早目にする
  • 水分は多量に取らない

めまい体操をしてみましょう

目を閉じた状態で、両手を前にのばしてその場で足踏みを50回してみます。
50cm以上移動していたり、45°以上回転していたり、後ろに移動していたらめまい予備軍です。

  • 頭を回転させる運動が効果的、ラジオ体操や鉄棒でもOK
  • 床をゴロゴロ転がるのも簡単に取り入れられます。
  • 眼を鍛える
眼を鍛える
  1. アゴを片方の手で支え、頭を固定します
  2. もう片方の手の親指を眼の高さで左右に10回往復させ視線で追います
  3. 慣れてきたら、上下にも行います
  4. 親指を視線の高さに固定します
  5. 視線を外さないように頭を上下に動かします

深部感覚を鍛える

  1. 眼を開けたまま“立つ”“座る”を交互に繰り返します
  2. 足を前後に開き、眼を閉じて両手はさげたまま15秒間バランスをとります
    めまい体操は毎日コツコツと続ける事が大切です、できる事から始めてみましょう
    どれも短時間で簡単にできる体操ばかりです、めまい体操は毎日コツコツと続ける事が大切です、できる事から始めてみましょう。
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