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お薬研究所 : 2010年9月号-#3 [2010.09.23up]

お薬研究所では「薬局でのこんな相談」や「病気の話」など、皆さまの健康に役立つ情報を掲載しております。
  » こんな相談「貧血について」
     ├ 1. 血液の働き
     ├ 2. 鉄剤の服用
     ├ 3. 食事から摂取するには・・
     └ 4. 鉄分補給なら、やっぱりレバー!
これまでの記事(直近3件)
  » 2010.09.15 お薬研究所:2010年9月号-#2 サプリメント「イチョウ葉エキス」
  » 2010.09.07 お薬研究所:2010年9月号-#1 病気の話「めまい」
  » 2010.08.26 お薬研究所:2010年8月号-#3 こんな相談「検査値について」

こんな相談「貧血について」

貧血気味で、薬を飲んでいるんだけど、いつまで続けるのかしら?飲むと少し気持ちも悪くなるみたい・・
貧血気味で、薬を飲んでいるんだけど、いつまで続けるのかしら?飲むと少し気持ちも悪くなるみたい・・。
女性に多い貧血。月経期の女性の場合、1回の月経で失われる鉄分はおよそ30mgと言われています。女性の4~5人に1人、予備軍を含めるとほとんどの人が貧血といっても過言ではありません。30代~40代の女性の1割~2割は治療が必要になるほどです。
また、ダイエットや朝食抜き、外食が多いなどの食生活の乱れが発症の原因にもなっています。

血液の働き

血液の働き 血液は、髪の毛と爪以外の全身をくまなく巡って、臓器や筋肉を成長させたり老廃物を排泄したりする大切な役割を担っており“動く臓器”と言われています。
血液の赤い色は、赤血球中のヘモグロビンの色です。ヘモグロビンは、体のすみずみまで酸素を運ぶ大変重要な働きをしています。 したがって、ヘモグロビン量が減少し体に酸素を運ぶ力が不足すると心臓や肺はそれを補うために一所懸命フル稼働するようになり動機や息切れが起こるのです。
実は、このヘモグロビンの材料になっているのが“鉄分”。健康な成人の体の中には、およそ5000mgの鉄分があると言われています、その半分は赤血球の中に残りの半分は肝臓に貯蔵されています。この量を維持するためには、1日に男性で10mg,女性では12mgの鉄分摂取が必要ですが、食品から吸収される量はわずかなので効率良く摂る工夫が大切です。

鉄剤の服用

貧血の診断は、血液検査で簡単にわかります。

貧血の診断は、血液検査で簡単にわかります 赤血球数・・・男性410万個以下、女性380万個以下
ヘモグロビン・・・男性14以下、女性12以下
ヘマトクリット・・男性35%以下、女性30%以下
(血液中の赤血球容積の占める割合)

上記3項目を総合判断し、診断されます。貧血と診断されると鉄剤の服用を開始しますが、血液中の赤血球やヘモグロビンは1ヶ月もするとだいぶ改善され、服用して2ヵ月経つ頃には基準値に達する事も多いのですが、この段階では貯蔵鉄を増やす事はできません。したがって、服用を止めてしまうとすぐに貧血症状が現れるのです。貯蔵鉄を増やすためには、さらに3ヶ月~半年服用を続けることが必要です。

鉄剤とは、精製した鉄粉を主原料にしたもので塩化第一鉄、フマル酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウムといった鉄化合物が一般的です。これらの鉄剤には、食事から摂取できる量よりはるかに多くの鉄が含まれているだけでなく、吸収も良いため貧血の治療に用いられています。
しかし、鉄が胃や腸の粘膜を刺激する事から、吐き気や便秘・下痢などの消化器症状がおこる事も多いのです。
鉄剤の服用 そこで、以下のような工夫を心がけます。

  • 胃薬を併用する(鉄剤の吸収を妨げる薬もあるので注意)
  • 食事のすぐ後に服用する(食物が入る事で、胃粘膜への刺激を低下させる)
  • 寝る前に服用する(就寝中は副作用を感じにくい)

また、服用時の注意として“鉄剤服用時にはお茶を飲んではいけない”と言われてきました。これは、お茶などに含まれるタンニン酸が鉄分の吸収を妨げるためですが、鉄剤に含まれる鉄の量は非常に多いため治療に必要な量の鉄分は吸収されることがわかり、現在ではあまり“禁茶”を指導されることはなくなりました。

食事から摂取するには・・

食事から摂取するには・・レバー 食物に含まれる鉄には、“ヘム鉄”と“非ヘム鉄”がありますが、その吸収には大きな差がありヘム鉄で10%~20%、非ヘム鉄で1%~6%とヘム鉄の方が断然吸収が良いのです。
肉や魚などの動物性食品に多く含まれているのが、ヘム鉄。野菜や穀類、海藻に含まれているのが非ヘム鉄です。また、吸収の劣る非ヘム鉄も吸収しやすい形に変えることのできるビタミンCと一緒に摂ることで効果的に摂取できます。

鉄分補給なら、やっぱりレバー!

レバーの生姜煮

  1. レバーは、食べやすいように一口大に切ります。1時間程、水を変えながら血抜きをします。
  2. 沸騰した湯に①を入れ、さっと湯がきザルにあけ流水で洗い水気を切っておきます。
  3. 薄切りにした生姜、醤油、酒、味醂を火にかけ、沸騰したら 2. を加えアクを取りながら弱火で30分ほど煮込みます。煮汁が減ってきたら、味を調えもう5分煮込んだら出来あがりです。

プルーンのワインづけ

鉄分豊富なプルーン、生でもドライフルーツでもOKです。ボールにプルーンとシナモンスティックを入れ、かぶるくらいの赤ワインを入れます。軟らかくなったら出来上がり、お好みでハチミツをかけたり、レモンを絞ったり・・。

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