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お薬研究所 : 2010年10月号-#1 [2010.10.12up]

お薬研究所では「薬局でのこんな相談」や「病気の話」など、皆さまの健康に役立つ情報を掲載しております。
  » 病気の話「痛風」
     ├ 1. 概要
     ├ 2. 発症のメカニズム
     ├ 3. 症状と診断
     ├ 4. 痛風の治療
     └ 5. 生活上の注意
これまでの記事(直近3件)
  » 2010.09.23 お薬研究所:2010年9月号-#3 こんな相談「貧血について」
  » 2010.09.15 お薬研究所:2010年9月号-#2 サプリメント「イチョウ葉エキス」
  » 2010.09.07 お薬研究所:2010年9月号-#1 病気の話「めまい」

病気の話「痛風」

痛風痛風の痛みは、激烈で男性でも涙を流すほどと言われています。日本で、痛風患者の報告があったのは、およそ100年前頃からで第2次世界大戦以降に急増しています。現在の罹患者は50~60万人に上ると言われています。当時は、美食や大酒が関係しており毎晩のように晩餐会を開いているような上流階級の人が罹る特別な病気で、いわゆる“ぜいたく病”とされていました。
しかし、現在では食生活の変化に伴い一般的な病気となりました。発症年齢は、40~50代が最も多く、特に男性は思春期に急激に上昇しピークに達します。思春期を過ぎても過食や大酒を続けていると発症のリスクは高まります。バリバリ働いて、接待や飲酒の機会の多い人は注意が必要です。

発症のメカニズム

食生活と深い関わりのある痛風は、血液中に尿酸という物質が増えてしまう事によって起こります。尿酸は、健康な時には液体に溶けた形で存在していますが、過剰に増えてしまうと針状の結晶となり体のあちこちに沈着します。関節などに沈着した場合には激烈な痛みが発現、これが痛風発作といわれる症状です。発症は、圧倒的に肥満の男性に多く、女性では閉経後に多く見られます。また、精神的ストレスや水分摂取の不足も引き金となり、日頃から意識して水分を多めにとり、血中の尿酸濃度を低く保つことが推奨されています。
尿酸は、体内で“プリン体”と呼ばれる物質が分解してできるもので、“プリン体”とは、動植物細胞の核や染色体の中にある遺伝子に関わる核酸の成分です。尿酸は、新陳代謝により産生する物質で健康な人の体の中には、約1200mgの尿酸が蓄積されています。そして、毎日その半分以上の尿酸が入れ替わっています。
痛風発症のメカニズム
痛風の好発部位:足の親指の付け根・アキレス腱・くるぶし・かかと・足の甲・親指以外の関節・ひじの関節・手首・指の関節・ひざの関節体の中で尿酸が増える原因としては・・・・

  1. 尿酸の合成が過剰になる。
  2. “プリン体”を多く含む食品を摂り過ぎる。
  3. 尿酸の排泄がスムーズに行われない。

このように、尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることにより体内の尿酸量が過剰になり、高尿酸血症と診断されるようになります。通常、この高尿酸血症の状態が数年続くと痛風発作を起こすと言われています。
痛風の好発部位としては、足の親指の付け根が最も多く全体の70%を占めます。尿酸は、低温や酸性条件で溶けにくい性質を持っているため、小関節や酸性に傾きやすい尿路に発生しやすく、尿路結石、腎障害、腎内尿酸結節(痛風腎)を生じます。
痛風になる人の2人に1人は、肥満だと言われています。これは、太った人が、肉類やこってりした高エネルギー食を好んで食べる傾向にあるからです。 環境因子(アルコール・食事・肥満)・第1期 無症候性高尿酸血症・第2期 間歇発作期・第3期 慢性痛風期動物性たんぱくの摂り過ぎが尿酸のもととなるプリン体の体内量を増やしてしまうのです。また、太った人は汗かきで尿量が減少し、濃縮された尿はより酸性に傾くのです。
痛風発作は激しい急性の関節炎症で、通常1週間以内に軽快しますが再び繰り返すのが一般的です。このような間歇発作期がしばらく続きますが、この時期に治療を開始しないと痛風腎や慢性発作が起こるようになります。

症状と診断

通常、血中の尿酸値が7mg/dl以上を高尿酸血症と診断されます。しかし、薬物治療を開始するか否かは、発作の発現や合併症の有無で異なります。
血中の尿酸値が7mg/dl以上を高尿酸血症と診断されます
飲酒や高プリン食などの栄養過多が原因となるので、合併症として糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を併発しているのが特徴です。
こんな症状があったら、早目に受診が必要です。
①手足の末端の小関節に痛みがある(特に夜間に痛みの出ることが多い)②足の親指の付け根の関節が腫れる③突然に発症し、通常6時間程度、多くは24時間にピークをむかえる④局所の発赤、発熱、腫脹を伴い激痛がある⑤症状は1~2週間で消失する⑥症状のない期間は長く、炎症状態は完全に消失する⑦関節の変形や運動制限は見られない

痛風の治療

痛風の治療高尿酸血症の改善とは、尿酸値を低い状態に保つことであり、そのためには尿酸の生成を抑制するか体内に溜まった尿酸を排泄させる薬を使用すればよいのです。

治療薬としては・・・

(1) 尿酸合成阻害薬
ヒポキサンチン⇒キサンチン⇒尿酸の合成経路において酵素として働く“キサンチンオキシダーゼ”と言う酵素をブロックして尿酸が作られるのを抑えます。
(2) 尿酸排泄促進薬
腎臓での尿酸の再吸収を抑えて、排泄を促す作用を持っています。
これらの治療薬を使用するに当たって、注意することとして・・・・・・
  1. 尿が酸性に傾くと尿中で結晶化しやすいので、尿をアルカリ化するためにアルキル化剤(ウラリットUや重層)を併用する。理想的な尿のPHは、6.2~6.8くらいです。
  2. 尿路結石を防ぐために、服用の際には大量の水を摂取することが必要(1~2L/日が目安です。)
  3. 尿路結石や腎機能低下している場合には、尿酸排泄薬ではなく合成抑性薬を優先させる事が安全です。
  4. 痛風発作中には、できるだけ尿酸値を変動させない方が早く発作が治まります。したがって、今まで高尿酸血症治療薬を服用していなかった場合には、急性の痛みが軽減した後に薬物治療を開始する。また、今まで治療薬を服用していた場合には発作中も服用を続けるようにします。
    血中の尿酸値が低下すると尿酸結節は次第に小さくなりますが、大きな尿路結節などは、外科的に治療をする以外になく、体外から超音波を当てて細かく砕き体外に排出しやすくします。
    (体外衝撃波破石術)
    急性炎症が起こっている時期には、非ステロイド抗炎症薬を服用し発作が軽減するのを待ちます。
    高尿酸血症を放置しておくと、このような発作の間隔は次第に短くなり慢性的な炎症と痛みが持続するようになるので、血液検査を実施し早目に治療を開始することが大切です。

生活上の注意

プリン体の摂取制限は必要ですが、最近の研究では尿酸値における外因性のプリン体の影響は意外と少なく、むしろアルコール制限やカロリー制限に着目した食事療法が効果的と言われていますプリン体の摂取制限は必要ですが、最近の研究では尿酸値における外因性のプリン体の影響は意外と少なく、むしろアルコール制限やカロリー制限に着目した食事療法が効果的と言われています。
過度な運動(無酸素運動)は、逆に血中尿酸値を上昇させる可能性があるので、ウォーキングなどの有酸素運動を比較的長めに行うことを習慣づけると良いようですアルコールは、分解される過程でプリン体を増加させる方向に働く事がわかっています。また、肥満の場合には、その体重を落とせば血中尿酸値が低下することが示されています。1ヵ月に2kgくらいの減量が効果的です。過度な運動(無酸素運動)は、逆に血中尿酸値を上昇させる可能性があるので、ウォーキングなどの有酸素運動を比較的長めに行うことを習慣づけると良いようです。