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お薬研究所 : 2011年1月号-#3 [2011.1.20up]

お薬研究所では「薬局でのこんな相談」や「病気の話」など、皆さまの健康に役立つ情報を掲載しております。
  » こんな相談「うっかり薬を飲み忘れた」
     ├ 1. 概要
     ├ 2. 用法について
     ├ 3. 飲み忘れの対応について
     └ 4. 自分の薬はしっかり管理しましょう
これまでの記事(直近3件)
  » 2011.01.12 お薬研究所:2011年01月号-#2 アレルギーを抑える食品
  » 2011.01.04 お薬研究所:2011年01月号-#1 病気の話「骨粗しょう症」
  » 2010.12.23 お薬研究所:2010年12月号-#3 こんな相談「上手に点眼する」

こんな相談「うっかり薬を飲み忘れた」

概要

いつも飲んでいる血圧の薬をうっかり忘れてしまった。どうすればいいのか?いつも飲んでいる血圧の薬をうっかり忘れてしまった。どうすればいいのか?
処方された薬は、用法を正しく守って服用する事でその効果を発揮します。服用時点の意味とは・・・・・

  1. 薬の吸収を促進させ、薬効をUPさせる
  2. 薬による副作用を軽減させる
  3. 飲み忘れを防止する

などのように、用法には意味があるのです。自己判断での変更は薬剤の効果が得られないだけでなく、体にも負担がかかる場合があります。

用法について

食前・・・ 空腹で、胃の中が空っぽの状態です。食物や胃酸の影響を受けない為、一般的に薬剤は早く吸収され、効果発現までの時間も短いのですが胃粘膜への負担も大きいのが欠点です。
吐き気止め、食欲増進する薬、漢方薬、食後の高血糖を抑制する薬など
食後・・・ 食べた食物が胃の中にある状態です。消化のための胃酸が分泌されており、胃の血流量が多い為、薬剤が血流によって体に運ばれやすい。つまり、吸収されやすく胃の負担も少ない用法といえます。
また、食事をめやすにする為に服用忘れが少ないのも利点です。
Q:食事をしないと服用したらいけない?
A:食事をしないからと言って、服用をしないと必要な1日量の薬剤が体の中に入らない事で期待する効果がでません。食事を摂らなくても決まった時点で服用しましょう。ただし、薬の中には食事を摂った後の方が効果的なものや食事とともに服用する事で薬効の出るものもありますので、注意しましょう。
食間・・・ 食事と食事の間。食後2時間くらいがめやすで、胃の中には何も食物がない状態です。したがって、食物により吸収に影響を受け易かったり、他の薬剤の服用により吸収に影響を受ける可能性のある薬剤の服用に適しています。たとえば、漢方薬(吸収されにくく、胃を荒らす事が少ない)、胃酸を中和する薬剤などがあります。
就寝前・・ 寝る前20分~30分に服用します。睡眠導入剤や下剤、喘息の治療薬、リウマチ治療薬などがあげられます。睡眠導入剤などは、床についた頃に効果が出るように服用します。また、一般的な下剤はその効果が出るまでに時間を要する為、寝る前の服用で丁度次の朝に便意が起こるようにします。また、喘息やリウマチは起床時に症状が出やすい為、就寝前の服用が効果的なのです。

上記のような一般的な用法の他にも、その薬剤の効果を十分に発揮させるために、[6時間毎][8時間毎][起床] [食直前] [食直後]等の服用法があります。たとえば、抗生物質や呼吸を楽にする喘息の薬やけいれんを抑制する薬などは、体の中の薬の濃度を一定に保つ必要があるので、~時間毎に服用します。また、食後の血糖の上昇を抑える薬剤などは食直前の服用が必要で、服用のタイミングを間違えると低血糖が起こる事もあり注意が必要です。
さらに、食事の脂肪分によりその吸収が高まる薬剤もあります。いずれの場合も用法をきちんと守り服用する事が大切です。

飲み忘れの対応について

基本的には、飲み忘れの際の対応は主治医の指示に従うようにしましょう。一般的な対応としては、気付いた時に服用します。しかし、次回の服用時点までに時間間隔がない時には、スキップするあるいは下記のような時間間隔をあけて服用するようにします。

1日3回服用の薬剤 → 4時間以上間隔をあける
1日2回服用の薬剤 → 5~6時間以上間隔をあける
1日1回服用の薬剤 → 8時間以上間隔をあける

しかし、薬剤の種類により対応は異なります。

*血糖降下剤*
食前 or 食後服用→長時間作用型の薬(アマリール、オイグルコンなど)は、食前の飲み忘れに関しては食後でも良い場合が多いと言われています。ただし、食後の血糖の上昇を抑制する短時間作用型(スターシス等)の薬剤は必ず食直前のポイントを守りましょう。また、糖の吸収を抑制する薬剤(ベイスン、グルコバイ)は、食事と一緒に服用することが必要です。食直前の服用を忘れた場合には、食事中であればOKですが、食後では効果が得られない為スキップします。
*健胃薬、消化薬*
胃での消化吸収を助ける薬剤ですので、食後の服用を忘れた場合にはスキップしても体調への影響は少なく問題ありません。
*血圧の薬*
1日の中でも血圧は変動をしており、1回の服用を忘れたからといって急激に上昇する可能性は低いのですが、薬剤により安定している血管の圧力が変わるわけですから、血管にも負担がかかります。1日の服用回数によっても違いはありますが、気付いた時に服用すると伴に、自宅でも極力測定を行い自己血圧を把握しておく事が大切です。
*骨粗しょう症の薬*
食事の影響をかなり受ける薬剤(ベネット、ボナロン等)などは、起床時の服用が必須で飲み忘れの際はその日の分はスキップします。

自分の薬はしっかり管理しましょう

以上のように薬剤ごとに用法はさまざまです。服用を開始する前には、必ず“どんな作用の薬なのか、飲み忘れの対応、副作用ではどんな症状があらわれるのかなどの情報を得るようにしましょう。

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