Vol.3 食中毒について
あすかコラム(2013年8月号)
こんにちは、菊池です。
学校は夏休みですね。楽しい日々をお過ごしでしょうか?
私事ですが、1ヶ月程前からグリーンスムージーデビューしました!グリーンスムージーは、緑野菜と果物をミキサーで混ぜたドリンクで、健康にとっても良いと最近人気です。
私は朝食をグリーンスムージーにしましたが、思っていたよりも飲みやすく、続けていけそうです。
興味がある方は、チャレンジしてみてくださいね!
さて、この暑さの中気をつけなければならないのが食中毒です。
命にも関わる食中毒。日々の注意で予防することもできるのです。今回は食中毒について、またその対処、予防について説明します。
【食中毒の症状】
主な症状は急性の胃腸炎(下痢、腹痛、おう吐など)ですが,、発熱や倦怠感など風邪のような症状を起こすこともあります。詳しい症状は、以下に細菌別に記載します
【主な食中毒の原因と種類】
細菌性感染型食中毒
細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こる。
菌名 | 感染源 | 潜伏期間 | 主な症状 |
---|---|---|---|
サルモネラ属菌 | 食肉、卵が主な原因食品だが、犬や猫などのペットも保菌しているため食べ物に菌が付着する場合もある。また、調理者の手指や調理器具・機材を介して加熱食品への二次汚染も発生する。 | 6~48時間 | 胃腸炎、吐き気、嘔吐、腹痛、 下痢など。 |
腸炎ビブリオ | 魚介類とその調理食品。 釣った魚や貝を下処理不足で食べて 感染したり、魚介類を調理したまな板や包丁を介して他の食べ物から感染することもある。 塩分を好むため漬物中などで増える。7月~9月に集中して生息する。 | 5~40時間(10時間以上が多い) | 激しい下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、37~38℃の発熱など。潜伏期間が短いほど重篤な症状を示す傾向がある。 |
病原性大腸菌 | O157などの腸管出血性大腸菌は、草食動物が保菌しており、その糞便に汚染された食肉や野菜が原因。その他の病原性大腸菌は、水や多種の食品から感染。 | 腸管出血性大腸菌は、3~9日。他の場合は、5~72時間。 | 腸管出血性大腸菌の場合、他の病原性大腸菌よりも激しい腹痛、水のような下痢、出血性の下痢、嘔吐など。最悪の場合死に陥る。 |
カンピロバクター | 食肉(特に鶏肉)の汚染によって食中毒を発症。 | 2~7日(平均2~3日) | 吐き気、腹痛、下痢など。 発熱は38℃前後が多い。 初期症状は風邪と間違いやすい。多くは1週間以内に完治し、死亡例は稀である。 |
細菌性毒素型食中毒
食品内で細菌が生んだ毒素を摂取することで起こる。
菌名 | 感染源 | 潜伏期間 | 主な症状 |
---|---|---|---|
黄色ぶどう球菌 | ヒトの手指(特に切り傷や化膿巣)、糞便、鼻孔中の分泌物、及びこれらに汚染された食品。 | 1~5時間(3時間が多い) | 嘔吐、吐き気、下痢。 稀に発熱。 |
ウイルス性食中毒
ウイルスが蓄積している食品を摂取、または人の手を介して起こる。
菌名 | 感染源 | 潜伏期間 | 主な症状 |
---|---|---|---|
ノロウィルス | 水や二次汚染された食品。カキやハマグリなどの二枚貝。 冬期に発生することが多い。 |
24~48時間 | 下痢、吐き気、腹痛、発熱など。発症初日は症状が重いが、3日程で回復することが多い。 |
【食中毒の症状がみられたら】
まず、下痢や嘔吐の症状が出ている場合には、体から電解質が出ることにより脱水症を起こす確率が高くなります。先月掲載した「経口補水液について」を参考に、経口補水液などで失われた電解質を補いましょう。
軽度の場合には上記に注意して安静にしていれば症状は軽減していきます。ですが、激しい下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が出た場合には、自己判断せず速やかに病院を受診しましょう。放っておくと重症化し、死に至る危険性もあります。特に以下の場合には、すぐに受診してください。
- 血便がある
- 水のような下痢が1日10回以上ある
- 海外での感染
また、食中毒の時は原因物質をなるべく早く体の外へ出すことが大切ですが、医師の判断を受けずに市販の下痢止めなどを服用すると、逆に体内から出て行かないため症状が長引いたり重症化する可能性があるので避けましょう。
家族に食中毒者が出た時は
- 感染源の食べ物を他の家族が摂取していないか確認する。摂取していた場合、感染していないかなど受診して確認しましょう。
- 調理の際、食事の前、トイレの後には家族全員が手洗いを徹底します。
※手洗いの際は、病原体が入り込みやすい爪の間をブラシなどで重点的に洗い、流水で十分に洗い流すことが重要です。さらに手洗いの後に消毒用アルコールで消毒するとなお効果的です。 - ドアノブや便器、水道の蛇口など触れやすい場所もアルコールで除菌します。
- 患者の便を扱う場合は、使い捨て手袋などをし、処理の後はビニール袋に入れるなど密閉して処分します。
- 洗濯は他の家族とは別に行います。
- 入浴は患者と家族が同じ湯を使うことがないよう工夫しましょう。
【食中毒の予防】
食中毒の原因となる細胞やウイルスを防ぐためには、以下の3つの原則、細菌を食べ物に「つけない」、付着した細菌を「増やさない」、「やっつける」が重要です。
つけない | 増やさない | やっつける |
---|---|---|
|
|
|
細菌が発生しにくいキッチンにしましょう!
- まな板、包丁は細菌が繁殖しやすい器具です。常に清潔を保つため定期的に除菌しましょう。
- スポンジ、ふきんは、細菌がとてもつきやすいので使用後は毎日除菌し、定期的に交換しましょう。
- その他、シンクや調理台、調理器具も使いまわしをせず、よく洗い、常に清潔に保つよう気をつけましょう。
注意しましょう!
- お弁当を持って外出するときは、保温ケースと保冷剤を併用しましょう!
- お弁当は細菌が繁殖しやすく、時間が経つほどその数は増えていきます。菌の増殖を抑えるために、まず調理後常温で放置しないこと。そして保温バッグに保冷剤と一緒に入れて出かけると、何もしないより菌の数ははるかに少なくなります。
- ペットボトル飲料は、なるべく早く飲みきり、ペットボトルの使い回しはやめましょう!
- ペットボトルに口をつけると、口内の無数の細菌が入り込み繁殖します。その細菌は日を追うごとに増殖します。そして場合によっては食中毒になることもあるのです。飲み物の種類によって菌の増殖率は変わりますが、いづれにしても開栓後は数時間~1日以内に飲みきるか、コップに注いで飲むなどして下さい。